2010年11月2日火曜日

◆石川太郎日記◆『かめぐちの竿』

石川太郎です。 
僕が生まれての初節句、母方の祖父が鯉のぼりの竿を送って下さいました。 
母の実家は、石川酒造が位置する福生市熊川から、
多摩川を挟んでちょうど対岸のあきる野市小川にあります。
現在では睦橋というりっぱな橋が掛かり、数十秒で川を渡ることができますが、
当時はその橋もなく、十数人掛かりで、担いで歩いて
川を渡って熊川まで運んできたとのことです。 
数年は、鯉竿として使われていましたが、
その後は現在ビール小屋として利用している建物の庇の下に保管されていました。
先日約40年ぶりに表に出 してみました。
長さは九間と聞いていましたが、測ってみれば15メートル70センチで、
なかなか立派な竿でした。 
六年前に長男一郎太が生まれました。
節句が近づくある春の日、息子の鯉竿を探すために檜原の山に入りました。
自分の竿は九間だと聞いていたので、それより長い竿を探してやろうと、
一日中探し歩き、ようやく一本の竿を見つけました。
当然のことながら、竿の長さは切ってみないと測れません。 
数日後、切って倒して測ってみると、長さは20メーターありました。 
先端はある程度切り落とすので、最終的には18メートル50センチの竿が仕上がりました。
「自分のより長くて良かった」と率直に思ったことを覚えています。 
以後毎年、息子の鯉のぼりを揚げているうちに、
徐々に自分の竿が静かにしまわれていることに対し、
「何とか利用してやりたい」という思いが強くなってきました。
何に使おうかと考えた結果、本日の竿上げに至った次第です。 
さて、本日11月1日、その竿を40年ぶりに石川酒造の門前に立てることにしました。
もちろん鯉のぼりを揚げるためではありません。
旗を揚げるためです。
旗には「多満自慢、新酒搾りたて かめぐち 発売中」と書かれています。 
そうです、今年も新酒の季節がやってきました。
新しい酒林も完成し、11月1日から販売開始です。
40年の時を経て、鯉のぼりの竿は「新酒発売」を告げる旗の掲揚に使われる事になったのです。 搾りたて「かめぐち」を発売している清酒製造期間中は、ずっと旗を揚げています。
石川酒造へお越しの際は、是非、祖父からの竿も、
かめぐちと一緒におたのしみください。お待ちしております。 

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