2009年9月15日火曜日

イチロー「解放された」

追いつめられたイチロー、安堵の笑顔
 前人未到の9年連続200安打を達成したイチローが、やっと安堵の笑顔を見せた。「解放された。最高ですよ」
 雨でダブルヘッダーの開始が4時間半も遅れ、2試合を終えたのは午後10時半。長丁場の後、Tシャツ姿で「9」をかたどったペンダントをつけて記者会見に臨んだイチローは、終始リラックスした表情だった。
 オリックス時代の1994年に、日本プロ野球史上初めて200安打を達成した時の出場122試合目から、わずか6試合遅れた128試合目での達成に「94年は僕のベース(基準)。それに近いのはなかなかですね」と上機嫌だった。
 記録まで残り1けたとなってから「達成していく過程がおもしろかった」と、余裕があったかのように振り返る一方で「人の記録(キーラーの8年連続200安打)を意識しながらやるのは、気持ちのいいものではない」。
 それだけに、独りで頂点に立ち、並ぶ者がいなくなった状況について「(200安打への考え方は)変わるんじゃないですか。自分と向き合っていればいいんだから」と語り、来季からは自分の打撃に集中できると予想してみせた。
 何より自分のペースを大切にするイチローは記録達成が近づくにつれ、増え続ける報道陣にも神経を使っていた。「普通の環境なら、出てこない恐怖が出てくる」。偉業達成を義務づけられているように感じ、追いつめられていった心の内を正直に吐露した。
 来季以降も、200安打を目指すことに変わりはないが、達成に対するこれほどまでの重圧はもうないだろう。「なんだか、ずいぶん気楽な目標になるんじゃないか」
。自信たっぷりに言い切った。(アーリントン、萱津節) (2009年9月14日 読売新聞)

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